IT分科会と経済的自由

掛下 哲郎 (知能情報システム学科)
平成15年度佐賀大学理工学部広報ScienTechより転載
平成15年4月発行

平成13年〜14年に大ヒットした書籍にロバート・キヨサキの「金持ち父さん」 シリーズがある。筆者はその中に出てくる「経済的自由」という概念に関心を 持った。個人の経済的自由は給料に依存せずに生活できる状態を指す。学問の 自由や大学の自治を実質的に実現するためには、大学自体が国からの経済的自 由を獲得する必要があると考えたのである。

そこで、平成13年には学内で「会計と投資の勉強会」を開いた。平成14年には、 佐賀県商工会議所主催の「創業塾」に参加してベンチャー創業の勉強を始めた。 また、ビジネスや投資に関する書籍や、各種ビジネスセミナーで勉強した。

これらの活動をしていたところ、佐賀県地域産業支援センターの土井浩多郎サ ブマネージャーから声をかけられた。佐賀県ベンチャー交流ネットワークのIT 分科会でメイン講師をしてほしいとのことであった。筆者自身も勉強中の身で あったが、「他人に教えるのは最善の勉強法」と考えて引き受けることにした。

IT分科会は毎月第二木曜の18:30〜21:00に佐賀駅前のアイ・スクエアビル5階 で行われた。具体的な勉強内容は、(1) ミッションステートメントの作成、 (2) ファイナンシャルリテラシー、(3) IT技術の最新動向、の3つである。

継続的に成長している企業の多くが明確な使命を持つ。ミッションステートメ ントは、事業の範囲を規定するとともに、事業の成否を判断するための明確な 価値基準を含む意志表明文である。そこで、その作成を第一の課題にした。

次に重視したのが、ファイナンシャルリテラシー(お金に関する基本知識/技術) である。企業が存続して新たな価値を創造するためには利益を上げ続けること が不可欠である。また、金融機関等からの資金を得るためには財務諸表、リス ク、投資についての実践的な知識や技術が不可欠である。そこで、ロバート・ キヨサキが考案した教育用ゲームCashflow 101/202を使って演習を行った。

これらの試みはベンチャー企業の経営者にとっても刺激的だったようで、「も のの見方が変わった」という意見を多くの参加者から頂いた。今年の1月〜3月 には、これらの経験を基にして各社のビジネスプラン発表会を予定している。

謝辞:11ヵ月に渡る勉強会に際しては、受講者の皆さんや土井サブマネージャー はもちろんのこと、(株)ディー・ブレイン九州の前田隆氏、理工学部の大月美 佳講師、経済学部の山下寿文教授、中小企業診断士の伊豆哲也氏 他の方々に 大変お世話になりました。末筆になりましたが、心から感謝します。


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