デザインパターンの部品化

近年オブジェクト指向分析設計の分野で デザインパターン (Design Pattern) という概念が注目を集めている. 別項で詳しく述べるが, デザインパターンというのは オブジェクト指向設計のノウハウを 主に自然言語と図を用いて記述したもので, 開発者の学習教育に用いられ, また開発者間の意志疎通の基盤としても期待されている.

しかし現在のデザインパターンは 論文や本などのオフラインドキュメントや 意味構造を持たないオンライン文書 として記述されており, 計算機上で管理・処理するのが難しい.

このような状況から, われわれは デザインパターンを計算機上で管理・処理するために 意味構造を反映した形式で取り扱うことを 考えた,

ここでいう処理とは,

などのことである.一方意味構造とは,次のようなもののことを示す. このような構造を反映するために我々は SGML (Standard Generalized Markup Language) を用いてデザインパターンを記述することを試みた.

SGML とは, ISO, ANSI, JIS で定められた 電子文書交換のための国際標準規格であり, 構造化された文書の記述に用いられる. このように, SGML が,文書を記述するための言語として 説明文,クラス構造情報および疑似コードを統合的に扱ことが可能であり, また交換可能なデータ形式としてSCALS との統合なども可能であることから SGML を採用した.

我々が,デザインパターン記述のために設計した SGML のことを, Pattern Information Markup Language (PIML) と呼んでいる. PIML についての説明は PIML についてで詳しく述べる.


Mika Ohtsuki <mika@db.is.kyushu-u.ac.jp>
Last modified: Mon Dec 15 18:11:53 JST 1997